小説の茨城  茨城をテーマまたは舞台にした小説集です。小説
 の舞台は、霊峰筑波、徳川光圀公の本拠であった
 水戸、東国の武神を祭った大社を持つ鹿嶋など。
「ディズニーランド遊覧」「京都の小説」水戸アジサイ寺(3本)早川眠子
 
 『ディズニーランド遊覧』
私は茨城県鹿嶋市に住む主婦(30才)。
最近、ディズニーランドへ行ってきましたので体験を記しておきます。

スターツアーズ

格納庫からローリーが横切り、緊急ストップ。
衝撃があり前のめりになる。
上昇するとスーッという感じ。

出口から出ると、次元を超えワープ
星々が帯となってをり去る。

氷の星にぶつかる。強い衝撃。

大艦隊がやってくる。敵は前後左右に飛び交う。
基地に突入する。白い管制塔や軍需設備の狭い間を超高速で飛ぶ。

狭いが急ハンドルでかわす。体が左右に振れ、強い衝撃。

ミクロアドベンチャー
発明大賞の授与式。
犬が身ぶるいするとしぶきが実際にとんでくる。
ねずみが足元を去ると何か足元にふれる。
レーザー光線で人が小さくなる。
犬が巨大化する。

ゴーステッドマンション
オバケに関する本が棚にギッシリ。
ろうそくが動く。
キャーというさけび声。
ダンスパーティが行わている。
透きとおった紳士淑女がえんび服とカクテルドレスでダンスをしている。
居間でおどっている。

胸像が動く。
額ぶちの肖像画がガイコツになる。

優雅に踊るのが幻想的。
ドレスがひらひらゆれる。

スペースマウンテン
左右にゆれる。
星がキラめいていたが、それは昇るときだけ。
身体が絞り出されそうになる。

ミートザワールド
  福沢 諭吉  「本当の文明関心は………」
  坂本 竜馬  「オレの青春をかけた日本の夜明けは………」
  伊藤 博文  「これからの政治は………」

タイムマシン
HGウェルズ「タイム旅行なんて信じられない」
マシンにさわったので一緒につれていかれる。
パリ、ドイツ、スイスなど。
 『京都の小説』
私は鹿嶋市に住む主婦。先日京都に行ってきましたので京都の小説を書きました。

清水寺
京都を訪れた観光客は、まず清水寺に参詣に行きます。舞台から見ると、右が内裏、右が東寺の
五重塔です。舞台の下で水を飲んでいた、でっぷりとした五十男が、音もなく倒れた。
「なんだなんだ」
「殺人か」
「いや、脳溢血だろう」
「いいえ、主人はそんな病気は持っていませんでした」
号泣しながら、夫人と思われる女性が、声を震わせた。
 たまたま、所用で京都に来ていた、大文字太郎は、被害者の首に、きわめて小さな針が刺さっ
ているのを見つけた。
「他殺ですよ、犯人も、大体見当がつく」
「えっ」
「まさか、こんなに人がいるのに」
「吹き矢ですよ。今は時間差効力のある毒があります。毒が回ったら五分以内に絶命します。そ
 の間に犯人は遠くに逃げることができます。時に、奥さん、ご主人は会社の社長さんか何かで」
「ええ、中小企業ですけど」
「では、最近、リストラで、社長を恨んでいた人の心当たりは」
「いますわ。長谷川さんとか」
「それだ。その人が社長を殺したんだ」
大文字太郎は難なくなぞを解いた。

知恩院
知恩院は、祇園社の北方面、華頂山のふもとにあり、正しくは華頂山大谷寺知恩院といいます。
浄土宗知恩院の総本山です。
 知恩院の敷地はきわめて広く、大学も抱えている。ここは大男でも住んでいるかのようで、門
も、院内の障子も巨大である。

近くの居酒屋へ、知恩院の僧が一人入ってきた。学生が二人飲んでいるところだった。一人は、
知恩院の学生らしい。顔を見たことがある。しかし、もう一人のほうは見知らぬ顔だった。
「京大でもそんなこと、あるのか」
「うんうん、あるある」
 僧は京大の学生の胸倉をつかむと、
「国の金で学ばせてもらっている身で、酒などもってのほか」
「えっ、何ですか。あなたは」
「俺は、歴史と伝統のある知恩院を睥睨するようなやつ、許しておけんのよな」
今にも殴りかかろうとする。
「やめてください」
もう一人のほうが僧の胸を押し、よろけるのを見るや、一目散に逃げ出した。

三十三間堂
江戸時代に「通し矢」が盛んに行われました。「通し矢」というのは、一人で、一昼夜の間に何
本の矢を射通せるかという競技です。最高は、和佐大八郎の八千三百三十三本でした。これが元
になって三十三間堂というようになったとか。
 これも江戸時代のことです。
須崎文太という三十そこそこの武芸者が大田典膳という道場主を破り、看板を抱えて、三十三間
堂のほうへ歩いていった。
この三十三間堂には金色の観音様が一千体ぐらい鎮座ましましています。まるで、江戸川乱歩の、
黄金仮面のようです。
右は観音様、左は壁の細い道を歩いていきます。突然前の人が、壁を、こんこんとたたいた。す
ると槍が飛び出してきて、須崎の横っ腹を刺しぬいた、と思った、しかし間一髪のところで飛び
去り無事だった。
 これは、大田典膳の道場を破った腹いせに仕組んだはかりごとに違いなかった。

西本願寺
一宮良純は、同志社大学の学生だ。アパート暮らしも板についてきた。ドアがノックされる。
「どなた」
「新聞の勧誘員です」
「ああそう、今あけるから」
男がドアのスキマに足を突っ込んで閉めさせない。
「先月かした一万円、利子がついて三百万になってるんや。ここはどうあっても返してもらうぞ」
「そんな」
「大学に行くのも悪いからこうしてきてやってるんや。そっちがその気なら、どこへでもくっつ
 いていくぜ」
「そんな」
「今日は帰ってやる。しかし、明日からはひどいぞ」
一宮は、西本願寺に、仏様に金のことを頼みに来ていた。

西本願寺は浄土真宗本願寺総本山、浄土宗の総本山です。天正十九年に、秀吉より寄進されまし
た。
一宮が御参りしようとすると、ハトがザーッと飛び立った。後ろを見ると、取立て屋がナイフを
持って立っていた。暴力沙汰で取り立てようとでも言うのだろう。しかし、人気がいないとはい
え、ここまでの目撃者は一人ぐらいはいそうだ。取立て屋は、ドジを踏んだようだった。

東福寺
東福寺は、東山のふもと、伏見街道沿いにあります。臨済宗大本山東福寺。釈迦如来像を新仏殿
と呼びました。
 今はもう秋。ここの紅葉は、もろこしわたりの三葉楓です。
電柱へと続く廊下の手すりの下に紅葉がすばらしい。
「ああっ」
子供が、母親がいないすきに、手すりから身を乗り出し、手すりもろとも紅葉の中に落下したの
だった。
「ボーヤ、ボーヤ」
母親は半狂乱で泣き叫ぶのでした。
 「おそらく」
たまたま京都にやってきて、東福寺に紅葉狩りに来ていた大文字太郎はいった。
「おそらく、なんですか」
住職も出てきて聞く。
「南福寺のしわざでしょう。ごらんのとおりこの木材は南福寺付近でしか取れないものだし、の
 こぎりを入れたあとがあります。ライバルの東福寺さんの評判を落とそうとしたのですよ」と
大文字太郎はいった。
 水戸アジサイ寺
茨城県の水戸市に保和院というアジサイ寺があります。6月なのでアジサイにちなん小説を書き
ます。

 普通、門前町はあるが、車まで入れる寺は少ない。ここでは寺の中まで車が入れる受付人は梅
屋というと食堂のスタッフで,受付にはいなく、食堂にいた.いいおばさんだ。何時何分入庫、車
番を書いた券をくれる。
 楼門の仁王様が両方にあり、上半身肌の色が神々しい。まるで大魔神のよう。車で寺の中に入
る。コマ犬が両脇に道の奥が本殿である。水呑み場がある。水戸黄門と助さん、格さんの石像も
ある。
 アジサイがたくさん咲いている。ブルー、ピンク、紫、黄色。
 日本庭園がある。昔、秀吉が、名匠に頼んで何年もかかったという京都の醍醐寺のイメージと
ダブる。
 石段を登ると色とりどりのアジサイがここにもあった。四葉のクローバーのような葉がついて
いて、ボンボリのようなかたまりを作っている。花の中を行く。千と千尋の神隠しにもこんなシ
ーンがあった。のりのきいたプルーのワイシャツのカラーのようにシャキシャキしている。
  下は森のようになっていて、アジサイの群生地である。そこへ、ジーパンに白のシャツにス
ニーカーの若い男が、枝をひとつ折って、かばんに入れた。

 それを近くで松の選定をしていたはしごに乗っていた庭師が
 「おい、お前、花ぬすびと」
 と、降りて追いかけ、追いついた。格闘になって両者は下になったり上になったりし、くんず
ほぐれつだった。青年はいきなり立ち上がった。庭師の胸にはナイフが刺さっていた。
 青年は、走って逃げた。取り押さえようと飛びつくのだが、だめである。青年の脚力腕力のほ
うが上を行った。しかし近くの人が、携帯で警官を呼んで、難なく解決した。
 
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