|
|
 |
茨城をテーマまたは舞台にした小説集です。小説 の舞台は、霊峰筑波、徳川光圀公の本拠であった 水戸、東国の武神を祭った大社を持つ鹿嶋など。 |
|
|
『小説茨城』は企業の広告によって運営されております。トップページ下の各店舗にも是非お立ち寄りください。
吾妻原神社は村の唯一の小さな神社だ。山の中の細道を行く。
「爺様、おらあ精出してこの草むら刈ったただ。今夜は大みそかだから参拝客は多いだべや。昼間は地主の奥さんに小作料払いに行くのに、味噌をつけた握り飯を『これ、食べとくれや』ってい出しただ」
「ほう、そうかね」
「それでまた、帰る時、ちょうちんをつけてな。地主の子供らが、見送ってくれただ」
「ほう、そうかね」
「それで帰り道方々から鐘の音が聞こえてきただ。このへんでは鐘ねえ。どこでもいく年くる年、見て他だなあ」
「ほう、そうかね」
|
|
|
 |
2002 (C)
Copyright by Office21. All rights
reserved. |