小説の茨城  茨城をテーマまたは舞台にした小説集です。小説
 の舞台は、霊峰筑波、徳川光圀公の本拠であった
 水戸、東国の武神を祭った大社を持つ鹿嶋など。
 『 大  み  そ  か 』      北 川  吏
 
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 吾妻原神社は村の唯一の小さな神社だ。山の中の細道を行く。
「爺様、おらあ精出してこの草むら刈ったただ。今夜は大みそかだから参拝客は多いだべや。昼間は地主の奥さんに小作料払いに行くのに、味噌をつけた握り飯を『これ、食べとくれや』ってい出しただ」
「ほう、そうかね」
「それでまた、帰る時、ちょうちんをつけてな。地主の子供らが、見送ってくれただ」
「ほう、そうかね」
「それで帰り道方々から鐘の音が聞こえてきただ。このへんでは鐘ねえ。どこでもいく年くる年、見て他だなあ」
「ほう、そうかね」
 
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