小説の茨城  茨城をテーマまたは舞台にした小説集です。小説
 の舞台は、霊峰筑波、徳川光圀公の本拠であった
 水戸、東国の武神を祭った大社を持つ鹿嶋など。
水戸黄門VSバケネコ    白田 明
 
 
江戸の水戸藩邸に、一人の娘がやってきた。
「オラァ、ここのお姫様だぞ」
なまった言葉。それにきたならしい着物。
門番は、とても姫などには見えないから、
「オマエのくるところじゃない。帰れ」と棒で胸を突きました。
そこへ藩主が、どこかへ行ってたらしく、供の者をつれ、立派な乗物で帰ってきました。娘が倒
れているのを、のぞき窓からみとめ、
「とまれ」
「はっ」
「あの娘は何者か」
「気が狂っていて、ここの姫だと申しますんで、どつきまわした次第で」
藩主は乗物を降り、娘のそばへより、顔をまじまじと見ると「ハッ」となった。
自分が腰元に生ませた猫姫のおもかげがある。お家騒動の元だから「水にせよ」つまり殺してし
まえといったのだが、水に小舟で流したのが誰かに助けられたらしい。そして、いままで成長し
てきたわけか。
「これは猫姫じゃ。藩邸に入れるように」

猫姫は変っていた。
人の交際はいっさいやらず、部屋にとじこもっている。
ある夜、お坊主が、細く開いているフスマを通して、姫の姿を見た。「ピチャ、ピチャ」と何か
食べている。坊主は目を皿のようにしてその食物を見た。マタタビだった。猫の大好物です。長
旅をしてきた人が食べると元気がでたところから「マタタビ」といわれ、8〜9月に実がなる。
これをツボに漬けておいたものだった。

また、藩主と奥方に茶をたてようとなった。猫姫のおてまえはなかなか良かった。
2人が飲んでいると、猫姫のようすが変なので、チラッと見ると、毛だらけで金色の目をし、赤
いものを出したバケネコの顔が飛び込んできた。思わず茶碗をとり落としてしまった。また目を
あげた。すると、白顔の猫姫に戻っていた。

藩主といっても、水戸光圀が、中国のありがたい書物に、兄をさしおいて藩主になってしまった
という下りを読み、自分が兄をさしおいてことを心の痛みに負い、自分は兄の子に水戸藩主を継
がせたのだった。
「猫姫はバケネコの化身じゃ。あれが拾われたのはバケネコの大ババじゃ。よほどかわいがられ、
バケネコになってしまったようじゃ。こうなったら、ぜひもなし。殺してしまえ」
「ハッ」
家臣団はうなずくと、猫姫の部屋へドヤドヤと走っていった。
「オヤッ、いない」
「なんだ、外の声は」
「ギャーッ、ギャーッ」と声がする。
邸の裏は田んぼで、ゴミが誰が捨てるのか一杯で、山のようになっている。異様な臭気。
向こうに巨大なバケネコが、ゴミの中にいた。はやる家臣団を、同じスケ号ロボ、カク号ロボが
おさえた。
そして機動戦士ミツクニが、
「スケ号ロボ、カク号ろぼ、トアホークミサイル発射」
「ハッ」
ドドドドと、バケネコめがけて飛んでいった。グゥワァンと音がし、煙や田んぼのドロがはねあ
がった。消えてみると、バケネコは健在で、魚の骨などを機動戦士ミツクニらに飛ばしてくる。
光圀は最後の手段を講じた。
「スケ号ロボ、カク号ロボ合体」
ああ、見よ。ミツクニの身体は割れ、スケ号ロボとカク号ロボは、その中に組み込まれ巨大化し
た機動戦士ロボとなった。
バケネコめがけて、突進していった。
「ドカーン」と音がした。
しばらくすると、さしものバケネコは死んでいた。
「よかった、よかった。機動戦士ミツクニ様、ありがとうござる。」
「いやいや、これで一件落着。ハハハハハ」
機動戦士ミツクニらは、満足そうに笑うのでした。
 
 
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