小説の茨城  茨城をテーマまたは舞台にした小説集です。小説
 の舞台は、霊峰筑波、徳川光圀公の本拠であった
 水戸、東国の武神を祭った大社を持つ鹿嶋など。
 マザーグースのコーヒーショップ 諸 星 好 子
 
マザーグースのレストラン

 水戸の三の丸。ここは昔、水戸城があって、それなりの権勢を水戸城下に放っていたのだった
が、現在では三の丸小学校のいかにも城ふうの壁、あるいは今NHKなどのカルチャーセンター
などという風景。元県庁、堀が掘ってあって、池の後ろには県立図書館がある。この土地だが、
あまりにも広かった。そこで、ある東京の大金持ちが、この土地、駐車場を水戸市から、県から
買い受け、マザーグースはコーヒーショップを開いたのだった。コーヒーショップといっても少
し変わっている。マザーグースは仕事をやめていた。。今はキャッシャーをしていた。
 まず1階に入ろう。ここは照明が落としてあって、足元にもつまずくくらいだ。まず明るい照
明が、それでも足元を照らしてくれ、安全を確保してくれた。1階目の手すりには、ラブラブの
一組がいた。縫いぐるみを着たバニーちゃんも、くまのプーさんも遠慮して寄りつかなかった。
そのずっと離れたテーブルでは、人待ち顔に時計をちらちら見ている中年の紳士がいた。恋人で
も待っているのだろうか。タバコを吸おうとすると、バニーちゃんはライターで火を付けてやっ
ていた。1階目のこのカップルは、コロンビアを飲んでいた。丸い酸味と甘さが特徴がある。こ
の紳士の飲んでいるのは、強い味わいが印象的なキリマンジャロだった。
 2階では、今やショーが始まろうとしていた。立派な紳士姿。シルクハットにちょうネクタイ
を締めフロックコートを着、ステッキを脇に握っている。それが、ベッドに横たわる娘さんの前
に出ると、急に青い肌色に変身し、凶暴な性格をむき出しにし、娘さんにかみつこうとした。そ
こへ前から、こういうこともあるのだろうと雇われていた私立探偵がやってきて、ピストルを構
えた。男は窓から逃げていった。
 ラブラブのカップルがいた。彼らが飲んでいたのは、恐らくコロンビアだったろう。丸い酸味
と甘い香りが特徴なのだ。いかにもスイートな感じの飲み物だ。次に奥のほうへ行くと、ああ、
次にキャッシャーのほうへ行くと、誰かを待ち続けているような青年がいた。恐らく彼の意中の
人だったのだろう。恐らくキリマンジャロを飲んでいたのだろう。アフリカを代表する豆で、非
常に酸味が強く、苦々しい思いをした人などが飲んでいたのだろう。
 2階では、時刻になるとショーが開かれる。これでゴリラとライオンの血みどろの闘いが今開
かれた。ゴリラの手をライオンがかみ、引きちぎろうとした。ゴリラは負けじとライオンの頭を
拳で殴り付けた。ライオンの歯が離れた。ゴリラはライオンの横っ腹をけりつけた。するとライ
オンは、またゴリラに飛び付いた。今度は強烈だった。さすがのゴリラも参ってしまった。
 ショーが終わった。すると客はみんなこの店を出る。出るときが変わっていた。ジェットコー
スターなのだ。貨車に乗り込むと、緩やかな坂道を上っていき、楽だなと思っているととんでも
ない。落下すると、ものすごいスピードで強烈に蛇行しながら落下していく。客はみんな「ふー
」と言ってため息をついた。

 
2002 (C) Copyright by Office21. All rights reserved.