小説の茨城  茨城をテーマまたは舞台にした小説集です。小説
 の舞台は、霊峰筑波、徳川光圀公の本拠であった
 水戸、東国の武神を祭った大社を持つ鹿嶋など。
『不思議機械 』『わが対戦の覚書』
              (全2本)  大 森  純
 
 『不 思 議 機 械 』
 面白く奇妙な機械を舞台に登場させる。
「ここに紹介するのは、不思議機械製造人の「悪のカタログ」であり、同時に快楽と背理の軌跡
でもあるのであった。」「寺山修二・仮面画報」より。

聖主人のための機械 

 「まだ誰でもない男が、中央の椅子に座っている。それは全身剃髪した全裸の下男である。男
は無表情で正面を向いたままである。ゆっくりと機械が卵頭にカツラをかぶせる。続いて、機械
の別な部分がその男の鼻の下に口ひげをつけ、めがねをかける。大きく口を開くと、義歯峨入り、
義手が取り付けられ、下男から主人になっていく。椅子から立ち上がると、戴冠曲が高らかに、
響き渡る。」「寺山修二・仮面画報」より。

 「ポーの「使い切った男」の主人公である将軍は、その勇名にもかかわらず、誰も見たことが
ない。ないはずで、実は、義眼、義手、義足、義歯、人工頭脳などによる「組み立て式」の軍人
なのである。」「寺山修二・仮面画報」より

 「全身剃髪した下男作男を聖主人に変えてしまう変身機械の物々しさと遊戯性は、ポーに引け
を取らない。」「寺山修二・仮面画報」より。

書見機

「難解な書物を読破するために「読む機械」を考案した。
1 前後のページをひっきりなしに操ることの身体的負担を和らげる。
2 カッコ内に挿入されたエピソードをおうことによるエントロピーの増大を防ぎ、「主要な本
分」を忘れないようにする。
というための機械であった。私の書物は注釈、引用、挿入句の入り乱れたものではない。
しかし、劇のために特別の観客席を用意するように、書物のためにも特別の書見機を用意しても
いいのではないかと思って考案した。」「寺山修二・仮面画報」より。
 
 『わが対戦の覚書』
私は茨城県の大洋村に住む83才の老人だが、50年以上も前の第2次世界大戦の体験と友人た
ちから聞いた大戦の思い出から、私なりの大戦のもようを再現しよう。

敵戦闘機から魚雷発射、海中を猛スビードで進み艦の横腹に衝突する。
オレンジ色の柱が立ち、もうもうたる黒煙。
炎が巨大な火の玉となってふくれあがる。管制塔が横倒しになり、中にいた人は放り出される。
爆破するたびに人々は吹き飛ばされ、海へ投げ出される。
艦上では機銃を撃つが敵の射撃を受け、ビシッビシッと弾が炸裂し、人々は背を撃ち抜かれて倒
れる。
沈没する艦は横倒しとなり、甲板が直角になり、物につかまりとどまろうとする人々を海へ滑り
落とす。
「オレは泳げないんだ!!」
艦の中にいる人々はドアから水が流れ込みおぼれて死ぬ。脱出口を求めてさがしまわっても水は
頭を越してしまう。
海で立ち泳ぎしている人々にも容赦なく35mm砲が撃ち込まれ水を赤くそめる。
飛行機は散歩する母子、野球する少年。
写真をとる人々の頭上を爆音を響かせて飛ぶ。
1時間後艦隊は黒煙をあげ、チロチロと炎を燃やしている。

B29が都市を軍需工場を、軍需基地を爆弾で巨大な炎をまきおこさせ、黒煙でおおう。  
敵は暗号を飛び交わさせ、「なにかたくらんでいるな」と思う。

朝焼けの空へ飛行機は飛び立つ。
下に雲海があり、黄金色をした雲がオレンジに変わるのを見る。そこへ1点となりすい込まれて
いく。
機を方向転換するたび恐がっておもしろがって「キャーキャー」いう。

うしろに敵機バク転をし、うしろにつき、撃ち落とすが、生き残りに撃たれて海へ。
コクピットの風防ガラスがあかないのでピストルで撃ち破ろうとするがダメ。
しかし、海中で風防のガラスを開け、脱出。海底から水面へと浮かびあがり、漁船に助けてもら
う。
撃たれた敵機は黒煙をあげて艦上の設備にたたきつけられ、爆発し設備とともに炎上する。
 
 
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