小説の茨城  茨城をテーマまたは舞台にした小説集です。小説
 の舞台は、霊峰筑波、徳川光圀公の本拠であった
 水戸、東国の武神を祭った大社を持つ鹿嶋など。
 「国内のロマンを求めて」 関 谷 和 夫
 
 
A:あの十和田湖。私は秋に行ったんですよね。で十和田湖の周りの山の景色が紅葉しててオレン
 ジっぽくなってたんですけど……。霞ヶ浦とか北浦見てるからあんまり珍しいと思わなかった
 んですけど。
B:まあ、ただあれだけの黄色だの赤だのの紅葉って、霞ヶ浦とか北浦では、そうはこう断崖絶壁
 みたいなところがあるわけじゃないからね。
A:そうですね。春はどうなんですか、あの辺は。
B:春は新緑でやっぱり悪くないですよ。
A:ああ、そうですか。緑に鮮やかですか?
B:ええ、そう。あの奥入瀬渓流なんかも結構いいと思うけど。
  ただ、雪解けっていっても、四月下旬かそこらへんかも知れないな。
A:ああ、そうですか。
B:普段の日は、たぶんね。
A:ああ、そうですか。ふーん。私は秋に行ったんですよね。秋の終わりごろ、紅葉の
  終わりごろに行ったからあんまり葉っぱが付いていなかったですけど、でも石があ
  ってその間に川が流れてて、こう風流な処ですよね。
B:そう、あそこは。大町桂月が明治の時代からまあいい処だっていう……文学者で、短歌が主だ
 ったんじゃないかな。大町桂月が要するに全国を旅して、いい処を歌に詠んで、それでその石
 碑なんかが残ってるはずで。全国で何箇所もそれあるはずで。たぶん奥入瀬渓谷にあるかなっ
 ていうのと、あとは北海道にも大町桂月の歌碑が残ってるからね。
A:では有名な人なんですね?
B:若山牧水とかそこまでは名が通ってなくても、かなりの有名人だよ。
 
A:あそこは西村京太郎の本では、結婚詐欺の男が女の人を奥入瀬渓流観光に巡ってうまい事言っ
 て騙したっていういきさつがありますけど。
女の人って行きたいもんなんですかね?
B:いえ女性に限らず、例えば松本清張のあの舞台になったっていう、例えば山陰なら
 山陰の山の中とか、能登なら能登の断崖絶壁とか……そういう処っていうのは小説が好きな人
 だの旅行が好きな人って、是非行ってみたいっていう気にさせる、要するにその場所の紹介で
 相当ひなびたいい処だったか、そういうのはやっぱり
 文学者っていうのはすごい、まだガイドブックにも載ってないような処でも……
 あの特に昔は昭和30年前後までは、そんなに誰もが旅行する時代じゃないし、東京オリンピッ
 クから大阪万博とか、その頃にかけてようやくマイカーだの旅行だのわりと日本人が少し金銭
 的に余裕が出てきてっていうことで、出てきたことだだろうけどね、あの旅行が盛んになった
 っていうのは。
A:松本清張という人は、あんなにたくさん書いてても緻密ですよね。取材も緻密ですし、話もこ
 う見ててもかなり時間かけて書いているみたいな感じのがあって。であれだけ量をあれだけの
 質のものを書くっていうんだから、大したもんだと思うんですけどね。
B:松本清張っていうのは、確か高校までしかやらなくて、確か九州新日鉄かどっか、当時の八幡
 製鉄かどっかのサラリーマンをしばらくやってたか何だったかちょっと覚えてないけど、新聞
 社だったかどっちだったか定かじゃないけど。水上勉っていうのも、北海道の岩内っていう処
 で昭和30年前後に大火があったんだよね。
 放火犯が……確か昭和31、2年だったか、洞爺丸台風の騒ぎの最中、津軽海峡を逃げた。大間崎
 の仏ヶ浦に。その水上勉の飢餓海峡≠ナある飢餓海峡ってたぶん津軽海峡を指してるんだろ
 うと思うけど。それでここに逃げながら犯人が上陸した。
 映画化もされて売れて、三国連太郎がその主役をやったわけだよね。中村玉緒が恋人みたいな
 関係で、最後は殺されちゃったか何かだったと思うけどね。
A:で話は変わりますけどあの結城紬がありますよね、茨城で。紬の里っていうのはありますか?
 なんかスリランカの壁掛けみたいなものを、その結城紬の中に入れておいて、試しにこれを売
 ってみようって言って売ったらば、買った人が「なんだ、これは」と言って、その店の人を刺
 し殺したっていうのがありましたけど、そんな事ってあり得ますか?
B:いや、実際にあったんなら、そりゃあり得るってことだから。今はもう何でもありの時代だか
 ら、本当にこんな風に人が殺されるって……親が子供を、子供が親をとかもう毎日のように起
 きてて。例えば去年の十月ごろだったか、ちょい前だったか……名古屋の方でインターネット
 で女の人を襲って金を取ろうって、そのそういう仲間を募ってやるっていうことまでも起きち
 ゃってるから、恐い時代だっていえば恐いよね。
A:そうですね。ホントにね。
B:まあ、インターネットなんかも結果的に自殺する仲間を募ってとか、そういうのが頻発しちゃ
 ってるからね。
A:そうですね。インターネット見てみると、メールにはいっぱい迷惑メールが入ってますもんね。
B:それの他、あの何でもやりますとか、危ないアルバイトとか、相当降り込み詐欺なんかだのに
 関連したようなのが、もうゴソゴソ出てるみたいだからね。
A:そうですね。迷惑メールがいっぱい入ってますよね、ホントに。
 その中から必要な情報を取り出すのは大変ですよね。
 箱根はどうですか?
B:箱根は、それこそ明治時代から欧米人が軽井沢より先に、あの東京から近くて避暑地としても
 いい処だっていうので、開けちゃった処だよ。まああの、西武鉄道と東急系同士が箱根戦争っ
 てあの、鉄道だのロープウェーだの道路だのをめぐって争ってたわけだよね。
A:若い赤木大臣が、顔に絆創膏を貼ってきて……
B:あの赤木宗徳はそれこそ……農水大臣の他、自衛隊のトップまでやったわけだね。
 赤城宗徳さんって……東大出て、日露漁業交渉って。ソヴィエト時代……なかなかソヴィエト
 っていうのは、あのブレジネフとかフルシチョフとか、恐そうでした。キューバ危機なんかを
 招いた。フルシチョフの時代だけど。なかなか世界でも共産主義って、当時から対立が強かっ
 たのと、まあ警戒されてたんだよね、欧米とかにね。そういう中で、日露漁業交渉なんてやっ
 てた人だから、おじいさんは大した人だけど子供も孫も東大出たけど、まあ全然パッとしない
 よね、ほんとに。平将門、赤城宗徳……宗徳さんって、本出してた記憶もかすかにあるけど、
 もうあの時代になるともう文献が無いからほとんどわかんないんだよね。
A:平将門っていうのも……東京に……日本橋ですか?ビルがあって塚があって、そこに壊そうと
 すると祟りがあってみんな死んじゃうとか。
B:そう。
A:あの、帝都物語っていうのに出てきますよね。
B:神田明神の平将門を祭ってるわけで、それから大手町あたりに塚か何かが……
A:あれいじるともうみんな死んじゃうという人が……
B:そう。まあ、よくそういうのっていろんな他にも祟りみたいなってあるわけだけどね。羽田空
 港なんかも、その神社の鳥居か何かを、あのー拡張するときに壊すのを祟りがあるからやりた
 くないっていう人がいっぱいいたわけだよね。
 
 
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